蚊がいないはずの冬のこの時期にも関わらず、まるで虫に刺されたような皮膚の腫れや発疹を経験したことはないでしょうか。実はその原因のひとつは、ハウスダストの中のアレだったのです。
今回は蚊のいない時期にも関わらず虫刺されになってしまう原因と症状、彼らの媒介する危険な感染症についてお話しします。
蚊のいない時期に虫刺されになる原因
蚊のいないはずの室内で、なぜ虫刺されが起こってしまうのでしょうか。
それはハウスダストの中にいる、あの虫が原因と言われています。それはダニ。特に室内では、イエダニ・ツメダニ・ヒョウダニの3種がいます。
この中で人を刺すのは、イエダニとツメダニ。ヒョウダニはフケやカビなどを餌とするため、人間の血を吸うことはまずありません。
これらのダニは室温20〜30℃、湿度60〜80%ほどの高温多湿の環境を特に好みます。また、絨毯・カーペット・布団・ぬいぐるみなど至る所に隠れるため、駆除しきるのも大変な労力です。
それぞれのダニの特徴ですが、まずイエダニは野鳥やネズミに住み着くダニで、人の血を吸うこともあります。その場合は、太ももなどの比較的柔らかい部分を噛んできます。
ツメダニは、蚊のいない環境下であれば家の中の虫刺されの原因第一位と言える存在です。6月〜9月にかけて大量に繁殖するという特徴を持っています。
ヒョウダニは死骸やフンによって、アトピー性皮膚炎などを起こす原因となります。
症状について
家の中でダニに噛まれると、皮膚に赤い発疹が現れます。そして多くは、激しいかゆみが1週間〜10日ほど続きます。
また、かゆいからといって患部をかきむしってしまうと、治りが遅くなるばかりでなく、そこから細菌が入り込んで二次感染の温床になることもあります。特に子供に多く報告されていて、『とびひ』と言われる伝染性の膿を含んだ発疹ができることで知られています。
なおダニに刺されたかゆみは他の虫刺されと違って強いと言われていて、蚊などと違って完治までに長い期間を要します。
彼らが媒介する危険な感染症とは?
ダニの中でもマダニは、危険な感染症を持っていることで有名です。マダニは家屋の中には住み着かないので、家にいるのであれば心配する必要はありません。が、屋外で公園や草むらなどに入る場合は注意が必要です。
マダニが媒介する病気は、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)や、日本紅斑熱、ツツガムシ病などがあります。
SFTSは10年ほど前に見つかった比較的新しい病気で、ダニに噛まれてから2〜6週間後に発症、原因不明の発熱・食欲低下や腹痛、下痢、嘔吐などの消化管症状が中心となって起こります。
また、時には頭痛・筋肉痛・意識障害や昏睡などの神経症状を引き起こすこともあり、リンパ節の腫脹・咳などの呼吸器症状・紫斑や下血などの出血症状などを引き起こすことでも知られています。このため、重症化すると死亡する例も報告されています。
日本紅斑熱とツツガムシ病は、噛まれて2日〜2週間以内に高熱・発疹・刺された部分が赤く腫れて、中心部がかさぶたになるといった症状が特徴的です。
紅斑は高熱とともに四肢や体幹部に広がっていきますが、痛くなたりかゆくなったりということはありません。なお治療が遅れてしまうと、重症化して死に至る可能性もあります。
予防法
ダニに噛まれないようのするためには、家の中ではまず、こまめな掃除を行いましょう。ダニの餌となるフケや髪の毛、食べこぼしなどをなくすことで繁殖を抑えることが可能です。
また、布団の天日干しが有効と聞いたことがあるかもしれませんが実はあまり効果がありません。何故ならば、温度の低い奥の方にダニが潜って逃げてしまうためです。
それから布団叩きもおすすめしません。ダニの死骸や糞などが叩かれることでさらに細かくなって舞い上がり、それがハウスダストとなって吸い込むことで、アレルギーを引き起こす可能性があるためです。
かといって、布団を丸洗いするのは大変・・・。そんな時は掃除機で吸って、ダニの数をなるべく減らします。ソファーやクッションカバー、ぬいぐるみなども同様に常に清潔に保つようにしましょう。
なお、部屋の湿度を下げるのは効果的です。晴れた日は換気を行なって、湿度が高い時は除湿機を使いましょう。
マダニの対策としては、長袖や長ズボンで肌の露出を極力減らすようにします。防虫スプレーを使用するのも効果的です。
他にも草むらに直接座ったり寝転んだりしないことや、上着を脱いだ場合も不用意に地面や草むらに置かないようにする、帰宅後にすぐ入浴して着替える、などの方法があります。
最後に
蚊のいない季節の虫刺されの原因についてお話ししました。
ダニは条件が揃うととてつもない速度で増殖すると言われています。
それを防ぐために、普段からのマメな掃除などを心がけたいですね。
それではまた次回、お会いしましょう!
コメント