同身寸法を使った取穴のやり方と経絡と経穴の誕生と起源のお話

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 十二経脈と奇経八脈の流注るちゅうについては以前にお話しました。今回はまず、経絡経穴の基礎とツボの取り方の基礎をお話しします。

十二経脈について

奇形八脈について

経絡経穴の概要

経絡経穴の誕生

 まずは、経絡経穴がどのようにして誕生したのか、そこから知っていきましょう。

 人間の体の内外を分けているのは皮膚です。この皮膚は脆弱なものであり、外部環境から内部環境を守る衣の役割を果たしています。

と同時に皮膚は、湿疹や吹き出物、黒子や発赤・変色などで体内の様々な環境を映し出します。日常生活の中で私たちは、その情報から体の変化を察知しています。

 一方で皮膚は、温度や湿度などの外部の環境変化をいち早く察知し、その情報を脳に知らせる役割も担います。その情報のおかげで私たちは、マイナスの環境を避けて生活することができるのです。

 このような特異性を認識したことで、私たちの祖先は2000年以上も前に東洋医学を成立させることができました。

この特異性は病邪が皮膚を介して体内に侵入するという考え方、体内の病が何らかの形で体表に現れるという考え方などを生むことにつながり、現在まで続く東洋医学の理論に大きな影響を与えました。

 さらに、皮膚を押したり撫でたり叩いたり、といったことが心身の心地よさにつながることも認識できるようになり、このような人間に備わった感覚と、その感覚への働きかけが、鍼灸やあん摩などの治療が誕生するきっかけの1つになったのです。

 

 ここからが本題となりますが、前述した皮膚特性に着目し、さらに体内と皮膚の関係には一定の法則があると見出し、それを医学としてまとめたものが、鍼灸学の基礎となる経絡経穴学説です。

 この学説のうち、身体の内(五臓六腑)と外を結ぶルートであり、身体を維持する気血や病の原因である邪気が移動する通路と考えたのが経脈の始まりでした。

 また、灸治療を受けた人が身体の縦方向に感覚を感じたことから経脈が認識されるようになり、その後、鍼による治療も行われるようになりました。

その結果、経脈上に治療効果に直結する特異的な部位が認識されることになります。

そこは体内の様々な問題が表面化する点(反応の出やすい点)であり、一方で治療効果も出やすい点で、これが経穴(ツボ)の誕生となりました。

しかし経穴は病態によっては必ずしも経脈上にだけ現れず、経脈外にも現れることがあります。

 

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経絡の概要

 経絡の『経』とは『縦糸』を意味し、人体を縦の方向に走行するものを指します。『絡』は『つながる』や『まとう』などを意味し、経脈と経脈を連絡したり、経脈から分かれ出る細い脈を指します。

 経絡が人体内外を網のように連絡することで、全身に気血を巡らせ、体を養い、規則正しい生理活動を維持することができます。

 ですので、経絡中で停滞や過不足など変調が起こると、体にも波及し、その反応は経絡に現れます。気血が過度に失われると死に至ることさえあります。

 経絡に現れた反応から病態の予測・治療を施し、予後を診ることもできます。

 

経穴の概要

 みなさんは普段、何気なく『ツボ』と口にすると思いますが、このツボにも、実は種類があります。

 まず、十二経脈と奇経八脈の『督脈』『任脈』(合わせて十四経脈と呼ばれる)にある『経穴』

 一般的に知られているツボは、大抵はこの括りの中にあります。

 次に経脈に所属せず、治療効果から発生し、名称と部位の定まっている『奇穴』と、その中でも1901年以降になって定められた『新穴』

 奇穴は32穴あり、このような特性であることから、特定の種類の病気や疾患に効果のあるものが多いです。

 最後に、押すと心地よかったり圧痛を感じるが、名称も部位も定まらない『阿是穴あぜけつなどが含まれています。

 阿是穴で私が知るものでは、学生時代に臨床家の先生から喉の痛みや鼻づまりに効くものとして、後頸部に圧痛の出る、ある一点を教えてもらいました。

 確かにそこは特定の経穴ではないのですが、灸をすると喉の痛みが楽になり、鼻づまりも解消されるのです。

なお、鼻づまりは解消と同時に鼻水が出てくることがあるのですが、これも学生時代に教えてくれたその先生曰く『出るものは全部出し切ってしまった方がいい』そうです。

 

鍼灸での取穴の仕方は?

 取穴は基本的に『骨度法』を用いて行います。

 これは人間の体は個人ごとに身長の高低や太っている・痩せているなどの差があるため、人によって経脈の長さも経穴の位置も違うということから、骨格を基準として身体にある経穴の位置を判断しようということで発案された方法です。

ただしこの方法は、確かに厳密ではあるのですが、1人1人の長さをその都度計測しなければならず、非常に不便なため、鍼灸の臨床の現場ではほぼ使えません(ただし骨度法で基準となる部位と長さの知識はインプットしておく必要があります。次に紹介する方法の基準となるためです)。

 そこで簡便法として、その人物の身体のある部分(具体的には手指)を長さの尺度として用いることにしました。これを同身寸法と言います。

 

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同身寸法のやり方(画像を参考にしてください)

1.男性は左(陽)、女性は右(陰)として、母指の第1関節までの横幅を1寸とする

2.示指・中指・薬指を合わせた第1関節の横幅を2寸とする

3.示指・中指・薬指・小指を合わせ、その中節を測った横幅を3寸とする

 取穴は目標となる基準点(骨・筋肉・関節など)が判然とするような体位で行うのが望ましいです。

 また施術も、取穴を行なった体位で行うのが原則です。これは体位を変えてしまうと経穴の位置もズレてしまうためです。

ただし病態によっては辛いこともあるため、その時は患者さんにとってより楽な姿勢で行うことが大切です。

 

おつかれさまでした

 以上で経絡経穴の基礎知識と取穴の仕方の解説は終了とさせていただき、『要穴』についての解説は次回にさせていただきます。

 それではまた次回、お会いしましょう!

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