今回は自動車のオイル0w-20と5w-30について、その違いとベースオイルの違いについてお話しします。
この前、ガソリンスタンドでオイル交換してもらったんだけどさ。
店員さんから「0w-20と5w-30のオイルがありますけど、どちらにしますか?」って聞かれて、よくわかんないから「オススメの方で」って答えちゃったんだよね。これってマズい?
オイルの粘度についての質問ですね。
どちらを使っても基本的には問題ないのですが、細かな違いというものは確かにありますね
あ、それと「スタンダードにしますか?プレミアムにしますか?」とも聞かれたんだけど・・・
おそらく合成油の種類の違いでしょうか。
では今回は、それらについてお話ししましょう
オイルの粘度が違うと何が変わる?
自動車のオイル交換をする時に、『0w-20』と『5w-30』という数字を目にしたことがあると思います。
これはエンジンオイルの粘度を表す数字です。まずは大きい方の数字から説明していきますね。
大きい方の数字は自動車が走り出した後、エンジンが高温となった際の油の流れやすさとエンジンを保護する油膜の厚さを表しています。基本的には油温が100℃の場合のオイルの粘度を表します。
つまり値が高くなるほど「より高温に晒されてもオイルがエンジン内部を循環しやすく、また、エンジンを保護してくれますよ」ということになるのです。
ただ、だからと言って闇雲に数字の大きいオイル(硬いオイル)を選べば良いというものではありません。
エンジンオイルは内部にある『オイルポンプ』を使うことで循環しますが、この容量が十分に確保できる車種(一般的にみて排気量の大きい車)であれば、どんなに大きな数字のオイル(より硬いオイル)でもエンジンの隅々までオイルを行き渡らせることができます。
しかしこの容量が足りない(省燃費エンジン搭載車など)場合や、オイルが硬すぎるためにエンジンに一定以上の圧力がかかった時に圧を逃す仕組みである『リリーフバルブ』が開いてしまうと、圧力が足りずにエンジン内にオイルを循環させられなくなってしまいます。
これを防ぐにはやはりメーカーが推奨する、マニュアルに記載されたオイルを使用するのが望ましいということになるでしょう。
では、小さい方の数字は何を表すのでしょうか?
こちらは数字そのものが温度を表します。そして重要になってくるのは、こちらの数字は主に冬季に関係するということ。番手によって、エンジンの始動性に影響してきます。
具体的にいうと、「0wの場合はマイナス35℃、5wの場合にはマイナス30℃まではエンジンの始動性を確保しますよ」ということです。
つまり番手が低くなるほど、より寒い環境でもエンジンを始動させられるようになるということ。
これが重要になるのは日本では北海道や東北・北陸地方などでしょうか。自分の住んでいる地域が例えばマイナス30℃以下になるのであれば0wの柔らかいオイルを使ってください、となります。
特に北海道の冬では0wと5wでは、冬季のエンジンのかかり方が全く変わってきます。マイナス10℃くらいから、その変化は顕著に現れるといいます。
ちなみに私の住んでいる地域では冬季も5wで大丈夫そうです(と言いながらオールシーズン0w-20を使ってる)。
旭川や帯広などに住んでいる人であれば、冬季はほぼ確定で0w-20が必要になるでしょう。逆に夏は気温が高いので5w-30の方がエンジンの始動性の面から見ても良いかもしれませんね。
ベースオイルの違いって?
もうひとつ、オイルを話す上で知っておきたいのがこれ。ベースオイルの違いについてです。
これはそのままオイルを作るベースとなる素材の違いで、『鉱物油』『高VI鉱油』『フル化学合成油』『セミ合成油』の4種類があります。それぞれについて簡単に説明していきますね。
鉱物油は安価ではあるものの、低温時のオイルの流れやすさ・オイルの酸化のしにくさ・温度による粘度の特性がいまひとつと言われています。あまり使用することはないオイルでしょう。
高VI鉱油は鉱物油の持つ弱点を補っているもので、燃費の向上とオイル消費低減が追求されているため、一般的な乗用車に使用するのに向いているオイルです。
フル化学合成油は粘度指数が高くて酸化もしにくく、スラッジ(燃料が燃えた時に出るゴミなど)も少ないうえに添加剤の効果も高いという、とても優れた効果を持っています。反面、価格は高価ですが高性能スポーツカーなどに適したオイルとなっています。
セミ化学合成油は高VI鉱油の性能をさらに向上させ、フル化学合成油に近い性能を持たせたものです。最新の高性能乗用車や中上級サルーンに向いた、バランスの良いオイルとなっています。
このうちのどれを選ぶかは、自動車のエンジンの持つ性格や特徴、オイルに含まれる添加剤などによって左右されてきます。
ですからパッケージなどをよく確認して、それぞれの特徴を見極めつつ、愛車に最適なオイルを選んであげることが長持ちさせる秘訣になるのではないでしょうか。
今回のまとめ
オイルの種類の違いについてお話ししました。
突き詰めていけばまだまだ細かな違いはありますが、大まかにはこんな風に違うのだなと頭に入れていただけたなら幸いです。
オイルひとつ取ってもそうですが、自動車は本当に奥が深いと感じる今日この頃です。
皆さんも点検・整備をきちんと行って、少しでも愛車が長持ちするように心がけてみてください。
それではまた次回、お会いしましょう!
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