今回はトレハロースの危険性についてお話しします。
食品添加物シリーズ第12弾。今回はトレハロースです
トレハロースってなんぞ?
その利用のしやすさから『夢の糖質』とも呼ばれている天然の甘味料です
夢の糖質かぁ。きっと危ない事なんかないんだろうな
そう思いたいところなんですが、実はある感染症を引き起こす危険性があると言われています
え、そうなの!?
ということで、トレハロースについて知っていきましょう
トレハロースとは?
トレハロースは2つのグルコースがくっついた糖で、19世紀に発見されました。温度や酸にも強く、生物の細胞内にも存在する天然由来の糖質であることから、安全性も問題がないとされ、注目を浴び続けてきました。
しかも多量摂取による急性中毒などを起こす心配もないとされています。
そんな夢のような性質を持つトレハロースは、動植物の細胞を乾燥や寒さ、ストレスから守ってくれるということが研究によって分かっています。
このことから動物が元気に暮らしていけるのは、体の中にトレハロースが蓄えられているからとも言われています。
今では安価に人工的に作る方法も確立されており、材料にはデンプンを使います。
1gあたりのカロリーは砂糖と同じ4kcal。ですが、甘さは砂糖の半分ほどとなっています。
ですから砂糖と同等の甘さを出そうと思うと、よりカロリーが高くなるので甘味料として使用するにはお勧めできません。
では、どのような用途でトレハロースは利用されているのでしょうか?
トレハロースはどんな目的で使われている?
砂糖よりも甘さの度合いが低く、同じ甘さを出そうとするとより高カロリーとなってしまうトレハロースは、甘味料としてそのまま使うには不向き。
では何に使われるかといえば、食品の品質保持や向上を主な目的として利用されています。
例えば冷凍して輸送される食品。トレハロースは温度変化に強いため、冷凍したとしても食品の持つ味や食感が変質することを抑制して戻りやすくすることができます。
このため冷凍食品には特に使われていますし、カスタードクリームなど冷やして食べることが前提のお菓子にも使われます。
また、デンプンや脂質、タンパク質が劣化してしまうのを防いでくれる作用もあります。これらが多く使われているものといえば、コンビニ弁当や菓子類ですね。
これらの食品はトレハロースの作用によって、パサつきや脂の酸化による嫌な臭いなどを防止することが可能となるのです。
食品以外では、化粧品や石鹸、入浴剤などにも利用されています。これはトレハロースの持つ保湿性の高さを利用するためです。
安全と思われていたが・・・
WHOも危険性がないと太鼓判を押すほどのトレハロースでしたが、近年その安全性に翳りが見えてきました。日本ではあまり知られていませんが、北米や欧州で、とある感染症の増加を招いているというのです。
その感染症の名は『クロストリジウム・ディフィシル』。2001年以降から猛威を奮い始め、現在ではパンデミック状態にあるといいます。2011年時点で年間死者数が3万人にも及ぶ危険な感染症です。
クロストリジウム・ディフィシル感染症は、同名の菌が腸内で大量に増殖してしまうことで起こります。
普段から腸内に存在している常在菌であり、毒素を出すこともありますが、健康であれば基本的に感染はしない『日和見感染症』の一種です。
この菌は、そのほとんどが抗生物質の効かない『薬剤耐性菌』で、抗生物質を使用した際に腸内バランスが崩れてしまうと増殖し、ヒトに対して牙をむきます。
症状としては、軟便・下痢・腹痛・嘔吐・吐き気・発熱があります。重症化すると、脱水・低血圧・大腸穿孔などの症状を引き起こし、命に関わることもあります。
では、この危険な感染症はトレハロースとどのような関係を持っているのでしょうか?
それは、菌そのものがトレハロースを利用して強毒性を得たことです。
研究によって、クロストリジウム・ディフィシル菌のうち、RT027株とRT078株がトレハロースを自己の強化のために利用していることがわかりました。
RT027株とRT078株は、それぞれトレハロースを代謝する変異がみられ、078株の方はさらに代謝産物を細胞内に取り込むという変異もみられました。
これにより菌そのものが強くなり、産生する毒素もより強力なものとなったのです。
最後に
トレハロースとその危険性についてお話ししました。
日本ではまだ流行の兆しが見えてこない(というより流行しないでほしい)感染症ですが、トレハロースを含んだ食品は身近にたくさんあります。
摂取のしすぎによって、近い将来もしかするとこの感染症が日本でも流行し出すようになってしまうかもしれません。
トレハロースの入った食品の食べ過ぎには気をつけてください。
それではまた次回、お会いしましょう!
前回はこちら!
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