咳は医療現場でも最もよく見られるといって過言でない症状。そのため原因も多岐に渡ることが多く、様々な診断方法を組み合わせてようやく診断を確定しなければならないこともあります。
今回は長引く咳について、原因となる疾患を個別に解説していきます。
咳の出る代表的疾患
新型コロナウイルス
今やいわずとも知れている感染症ですが、ここでもう一度おさらいしましょう。
新型コロナは37.5℃以上の微熱、咳、だるさなどの風邪に似た症状が、発症から1週間ほど続きます。嗅覚・味覚障害が出てくることがあるのも特徴です。
多くはそこで治癒しますが、二割弱の割合で重症化。その際には発熱・咳などの他に、息切れや呼吸困難、痰といった症状も出てきます。また、稀に下痢や嘔吐などの症状も出るようです。
特に息切れは風邪やインフルエンザでは稀と言われていますので、他の症状と合わせてこの症状が見られたときには、新型コロナ感染である疑いが出てきます。
ただ、1週間を待たずに急激に悪化する場合もあるため、もしも風邪のような症状が出ていて急な息切れや胸痛などの症状が出てきたときには、迷わずに医療機関へ行くようにしましょう。
肺癌
現在、日本で癌によるトップの致死率を持つ疾患が、肺癌です。
恐ろしいのは、肺癌にはこれといった特徴的な症状がないこと。微熱やだるさといった、一見すると風邪のような症状であったり、息苦しさや動悸、息切れが出たりすることがありますが、それだけで鑑別はできません。
ですがその中で最も多いと言われるのは、咳と痰です。風邪をひいた訳でもないのに、咳や痰が2週間以上続き、血痰(血の混ざった痰)が出る場合、これらと合わせて発熱が5日以上続くときは医療機関を受診してください。
なお進行すると、癌が発生した位置によっては上肢の麻痺や声のかすれ、顔や首などのうっ血が見られることがあります。
また、転移によって肩や腰の痛みなどとして現れ、そこで初めて癌が発見されることもあります。
肺結核
こちらも日本では見落とすことのできない、未だ感染者の多い疾患です。
とはいえ感染した全員が発症する訳ではなく、その割合はおよそ10%と言われています。
肺結核では、2〜3週間以上持続する咳が続きます。他にも体重減少、体のだるさ、血混じりの痰が出る、寝汗がひどい、発熱が続くなどの症状が出ます。
が、高齢者など一部の患者の場合では症状がはっきりとしないこともあり、この場合だと発見が遅れることが多く、周囲への感染を拡大させてしまうことがあるため気をつけなければいけません。
マイコプラズマ肺炎
マイコプラズマ肺炎は、同名の細菌感染によって起こる感染症。小児や若い世代に比較的多く見られ、発症者のおよそ8割は14歳以下というデータもあります。
大人でもかかることがありますが、やはり若い世代に多く、高熱以外の症状は現れにくく重篤になりにくいとされています。
マイコプラズマ肺炎では感染後、2〜3週間の潜伏期間の後に発熱やだるさといったいわゆる風邪のような症状を呈します。
咳は発症から3〜5日経ってから現れることが多く、発熱は数日で軽快。
ただし、咳だけがその後1ヶ月ほど続くという特徴があります。
他にも胸痛や喉の痛み、声のかすれ、下痢や嘔吐などの症状が出ることがあります。
また、時に重症化することもあり、その場合は細気管支炎を併発、ゼイゼイとした苦しそうな呼吸が見られ、中耳炎や膵炎、肝炎、髄膜炎などを併発する場合もあります。
成人は小児に比べて重篤化しやすい傾向にあるようです。
最後に
咳が長引く原因疾患についてお話ししました。
どれも風邪のような症状が出るのが特徴にありますが、これらはどれも放っておかない方が良い病気であるのも確かです。
なんだかまずいなと感じたら、早めに医療機関を受診しましょう。
それではまた次回、お会いしましょう!
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