夜中の咳のせいでよく眠れなかった。原因は何だろうか。しかも夜間だけひどくなってしまう。
今回は夜中だけ咳がひどくなる理由と、その場合に考えられる疾患についてお話しします。
夜中の咳の原因
昼間は自律神経の交感神経とホルモンの働きが活発になっているため、気管支が拡張されて空気がよく通るようになっています。
対して夜間は副交感神経の働きが優位となって、抗炎症作用を持つ細胞内で作られるステロイドホルモンが減ってしまうため、咳が出やすくなると考えられています。
また、夜間や明け方は気温が低いため、冷たい空気を吸い込むことによる気道への刺激によっても咳が出やすくなると考えられます。
夜中だけ咳が出る理由は?
夜間にだけ咳が出る場合は、咳喘息やアトピー性咳嗽などの何らかの原因となる疾患が潜んでいる可能性があります。それらの影響で気管支が狭い状態になってしまうと、夜間に咳が出ることがあるのです。
夜中の咳が出るときに考えられる疾患
夜中に咳が出る場合には、次のような疾患が原因として考えられます。
咳喘息
咳喘息は夜間や起床時に咳が出やすかったり、温度差によって咳が出やすくなる、季節性があるなどの特徴があります。また、タバコの煙やほこりを吸い込むことでも症状が悪化することがあります。
上気道粘膜に炎症は生じていますが、呼吸困難や喘鳴(ゼェゼェといったような苦しそうな呼吸)はなく、呼吸機能検査でも異常はみられません。そのため、気管支喘息とは区別されて呼ばれています。
ただし放置してしまうと、気管支喘息に進行することがあるため注意が必要です。
副鼻腔気管支炎症候群
慢性副鼻腔炎(蓄膿症)に気管支の慢性炎症を合併してしまった疾患です。
鼻水が喉の奥へ流れ込んだり、鼻水や痰を伴う咳が出たりします。
アトピー咳嗽(アレルギー性咳嗽)
痰が出ない咳が主な症状。花粉症などのアレルギー疾患を伴っていることが多いとされます。
逆流性食道炎
胃酸が食道に逆流することで、胸焼けなどの症状が現れる疾患です。
胃酸が胃の入り口付近の神経に刺激を与えたり、逆流した胃酸が喉に直接刺激を与えたりすることで咳が出やすくなります。
胃酸が喉に刺激を与えた場合は呑酸と言って口が酸っぱくなる感じがすることがあります。
慢性心不全
夜、寝ているときに咳が出る場合はこの疾患も疑う必要があります。
寝ているときに湿った咳が出るのが特徴で、これは体を横にした際、背中側に水分や血流が溜まってしまうためです。
百日咳
子供がかかりやすいものとしては百日咳があります。
百日咳菌の感染によって、夜眠れないほどの咳が出ることがあります。
なお3種混合ワクチンで予防することが可能です。
病気以外で考えられる原因
病気以外の原因では、次のようなことが考えられます。
・寝具についたダニやアレルゲン
・季節変化に伴う気温の変化
・布団に入ると体が温まって咳が出やすくなる
・空気の乾燥による気道の刺激
・睡眠中の口呼吸で粘膜が乾く
・長期の喫煙者の場合、タバコが原因で起こる慢性の肺の炎症性疾患で咳が出やすくなる
・血圧上昇を抑えるACE阻害薬を服用している場合、それが原因で咳を起こしやすくする物質が産生されて咳が出る
夜に咳が止まらなくなったら
次のような対象法を試してみてください。
・背中を軽く叩いたり、さする
・水分補給をする(できれば温かいもの)
・乾燥しないよう、加湿する
・マスクを着用して喉の乾燥を防ぐ
最後に
夜中の咳の原因についてお話ししました。
もし2週間以上咳が続く場合や、夜眠れないくらいの咳が出る場合には、他の疾患の可能性も考えられるので、早めに病院に行くようにしてください。
それではまた次回お会いしましょう!
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