今回はヒ素の毒性と症状についてお話しします。
ヒ素といえば、私が小学校へ入学したその夏、オウム真理教信者が起こしたカレーへの混入事件があったことを記憶しています。
死者を4名も出すような猛毒のヒ素。その毒性とはどのようなもので、どんな症状を出すのでしょうか?
ヒ素の持つ毒性と症状
カレーへの混入事件で日本では一躍話題となっていたヒ素ですが、実は昔から自殺や暗殺などの他殺に使用されてきました。無味無臭で毒が入っていると気づかないからです。
そのため、昔の西洋の貴族は銀の食器を使うことで毒の混入を見抜いていました。純銀の食器はヒ素に反応して変色するためです。
参考動画をお借りしましたのでご覧ください。
純銀の食器にヒ素を溶かした水を垂らすところから始まります。
ヒ素が本当に銀食器を変色させたのを確かめていただいたところで、本題に入っていきましょう。ヒ素の毒で引き起こされるのは主に中毒症状で、急性のものと慢性のものがあります。
体内に入ると消化管から素早く吸収され、急性症状として吐き気や嘔吐、腹痛、下痢といった消化管症状のほか、頻脈などの不整脈を引き起こします。
また時に消化管からの出血や急性腎不全によってショック死することもあります。
一方で少量のヒ素に汚染された水を飲み続けたり、ヒ素を取り扱う仕事に長期間就き、ヒ素を吸い込むなどして体が汚染されると、慢性のヒ素中毒となります。
こちらの場合は色素沈着や角化症、皮膚がんといった皮膚の症状や、手足のしびれや末梢神経炎などの神経症状、鼻や肺の粘膜に障害が起きたり肺がんのリスクが高まるなど呼吸器の障害が出るようになります。
ちなみにヒ素は消化管から素早く吸収されますが体内に留まる時間も短く、メチル化という処理を受けた後に尿中へ排泄されます。
蓄積されるのは無機ヒ素で、ケラチンと結びつきやすく、髪の毛や爪に貯まっていきます。
最後に
ヒ素の危険性についてお話ししました。
オウム真理教のような凄惨な事件はもう2度と起こってほしくはありませんね。
入っていることに気づけないというのが厄介なところ。この際、純銀の食器でも持ち歩きましょうか。
ところで純銀の食器は手入れが大変と聞きます。
すぐに酸化して黒ずんでしまうとか。しかもお値段もなかなかで、庶民には手が出しづらいところ。
だからこそ、貴族のステータスでもあったんでしょうね。
それではまた次回、お会いしましょう!
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