頭が痛いと一口に言いますが、頭痛の原因はこめかみや前頭部、後頭部など、部位や痛み方で異なります。
また、ただの頭痛だと思って放っておいたものが、実は命に関わるような危険な頭痛で取り返しのつかないことになることさえあります。
今回はそんな頭痛についてお話ししていきます。
実は多い?頭痛持ちの日本人
本題の前に少しだけ。常日頃、頭痛に悩まされるいわゆる『頭痛持ち』。これが日本人には多いと言われます。だいたい3人に1人とくらいとされていますから、これはもう国民病といってもいいかもしれないですね。
この慢性的な頭痛には色々と種類がありますが、代表的なものは次の3つです。最も多いとされるのが、緊張型頭痛。15歳以上の頭痛持ちの日本人のおよそ20%、次に片頭痛がおよそ10%、最後に珍しいタイプですが群発頭痛というものがあります。
これらはどれも命にまでは関わりませんが、それぞれの頭痛については痛み方や痛みの誘引のされ方、セルフケアの方法などが違います。それらについてもこの後、解説していきます。
頭が全体的に重だるく圧迫されるように痛い→緊張型頭痛
では本題に入っていきましょう。まずは緊張型頭痛です。緊張型頭痛は痛みの程度としては片頭痛よりも軽く、頭が全体的に重だるく、グーッと圧迫されるように痛むのが特徴です。
頭痛の始まり方も漠然とした頭重感から始まって、それが1日中続く傾向があります。
原因
緊張型頭痛の原因は2つあります。
1つは筋肉の緊張からくるものです。これはデスクワークで長時間パソコンの画面を見続けたり、前かがみの姿勢を続けると起こりやすくなります。また、合わないメガネをかけていたり、他の目の疲れが原因で起こることもあります。
もう1つは心からくるものです。こちらは職場の人間関係や家庭での問題など、精神的ストレスに弱い人に多いようです。
対処法
どちらも心と体の緊張をほぐすのが大事ですので、初めから頭痛薬などに頼らずにストレッチや体操、マッサージをしたり、外の空気を吸うなどして気分転換を図りましょう。また、ゆっくり入浴することも精神的なリラックスのほか、血行を良くして筋肉の緊張も緩和してくれます。
目の疲れがあるなと感じたら、『風池』というツボを使うのも効果的。首の後ろにあるツボで、髪の生え際のくぼんだところにあります。
対角の目(右のツボなら左目)に向かって、3秒押して3秒離すを繰り返してください。押すときに息を吸って、離すときに吐くと効果的です。
こめかみや頭の片側あるいは両側が痛い→片頭痛
片頭痛は女性に多いと言われる頭痛です。30代女性のおよそ2割は片頭痛持ちと言われています。
症状はズキンズキンといった感じの拍動性の痛み(心拍に応じた痛み)が、こめかみの辺りから頭の片側あるいは両側で起こります。
発生頻度は月に1〜2回ほどで、痛みは数時間から長いと3日ほど続く人もいます。吐き気を伴うこともあり、光を眩しく感じたり音に敏感になります。
また、生あくびが出たり、空腹感やイライラが募ってくることを頭痛の前兆と捉えている人もいます。
他にも頭痛の前兆として、目の前にキラキラした光が出て視界がぼやけてしまう『閃輝暗点』という現象が起こることがあります。
実は私も閃輝暗点が起こるのですが、初めて起こったのが確か数年前。運転中で「は?ちょ、急に前が見えにくくなったんだが?何だこれ。勘弁してくれ」と思いましたね。ほんとに前見えないんですもん。下手したら事故りますよ。以来、年に何度か、これが起こるようになりました。
しかもこれ、数十分から数時間は消えてくれないんですよね。その間、ずっとチカチカ。実際なったらわかると思いますが、イラっとしますよ 笑
原因
片頭痛の痛みの原因は、側頭部にある血管(浅側頭動脈など)が拡張することで、神経を圧迫してしまうためと考えられています。
そのため、心臓の拍動に合わせたような痛み方をしてしまうというわけです。
対処法
まずは自分の片頭痛を起こす誘因となるものを掴んで置くことが重要です。人によって様々ですが、一般的にはワインやチーズ、チョコレートなどが有名です。
他には食べ物だと柑橘類やナッツ類、肉やソーセージ、乳製品、コーヒー、紅茶、中華料理などがあります。
休日や週末に片頭痛が起こる人で、寝すぎて頭が痛いという場合はいつも通りの時間に起きるようにすることで対処できる可能性があります。
寝溜め食い溜めはできないと言われていますので、早起きは三文の徳と思って、せっかくの休日は趣味などに時間を費やしてはいかがでしょうか。
外出時に片頭痛が起こる場合は、車や人の流れだったり、まぶしさが誘因になっていると考えられますので、サングラスをかけると良いでしょう。
片頭痛防止にはこれらの誘因を避けることが重要です。が、もし起こってしまったらなるべく安静にしていましょう。暗い部屋で横になって眠ってしまうのが一番です。
また、痛みを和らげる方法もありますが、これも人それぞれ。痛む箇所を抑える・揉む、氷などで頭を冷やす、血管が拡張しているためあまりお勧めはできませんが、温めるなどの方法があります。
とにかく自分が楽になる方法を見つけ、前兆が見えたときには早めに薬を飲んでおくようにしましょう。
毎年決まった時期に起こる目の奥の激痛→群発頭痛
痛みの王様と称されるほどの激痛が襲うのが、この群発頭痛。どちらか片方の目に、えぐるような激痛が起床後の数十分から3時間ほど続き、痛い方の目から涙が出たり充血したり、鼻水が出ることもあります。
こうした症状が1日3〜4回、毎日のように出現し、1〜2ヶ月も続くというのですからたまったものではありません。
もし私が自分の身に起こったら間違いなく、「シテ…コロシテ…」となる未来が見えます。
痛みは夜中や明け方に起きることが多く、圧倒的に男性に多い頭痛です。
またこの頭痛が起きているときは少量のお酒を飲むだけでも誘発されるため、この期間はお酒を飲まないようにしましょう。
原因
この頭痛も片頭痛と同様に、頭の血管が過度に拡張してしまうことで神経を圧迫してしまう説や、生体のリズムを刻んでいる『体内時計』の不調が原因とする説もあります。しかし、明確な原因は未だはっきりとしていません。
対処法
群発頭痛にはこれといった対処法がありません。頭痛が起こると薬も効かないので、もし発作が起こる時間がわかっているならば、早めに血管収縮薬を予防的に飲んでおくことが唯一できることです。
もし薬がない場合は、深呼吸が有効な場合もあります。
命に関わる危険な頭痛
ここからは放っておくと命に関わるような危険な頭痛や、救急搬送が必要となるような頭痛について解説していきます。
くも膜下出血
脳の動脈のこぶ(動脈瘤)が突然破裂して脳を覆っているくも膜という膜の下に血が溜まるものです。突然、ハンマーで殴られたような頭が割れそうな激痛が襲うのが特徴で、続いて吐き気・嘔吐・意識低下などが起こります。
40代以降に多く、発作の起こる数日から数週間前に今まで経験のない軽い頭痛が起こることがあります。
脳出血
多くは高血圧が原因となって脳血管が破れて出血したことに起因するもので、急に頭痛が起こった後、短時間で痛みがピークへ達します。
頭痛そのものは軽いこともありますが、手足の麻痺や言語障害、吐き気やめまいなどを伴います。
脳腫瘍
脳にできた腫瘍が大きくなるのに比例して痛みも強くなってきます。できた部位によっては手足の麻痺や視力の障害などが起こります。
髄膜炎・脳炎
ウイルスや細菌の感染が髄膜にまで及び、高熱とともにズキンズキンという激しい頭痛が起こります。また、首の後ろが硬くなるのが特徴的です。
この炎症が脳まで及んでしまうと脳炎となり、麻痺や意識障害を起こします。なおこの場合には神経内科を受診しましょう。
慢性硬膜下血腫
頭をぶつけたり、軽い衝撃を受けたりしたことが原因で、頭骨の下にある硬膜とくも膜の間から徐々に出血し、1〜2ヶ月後に血腫が脳を圧迫することで頭痛が起こります。
特にお年寄りで起こりやすく、ぼんやりとしたり物忘れや尿失禁なども出たりするので認知症と間違えられることもあります。
血腫を取り除く治療をすれば、症状は良くなっていきます。
最後に
種類別の頭痛と危険な頭痛についてお話ししました。
頭痛は放置していても問題ないものもあれば、危険なものもあるので、もし長く続いて怪しいなと感じたら病院を受診するようにしてください。
早期発見・早期治療があなた自身を救います。
それではまた次回お会いしましょう!
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