先日、東京大学医科学研究所(医科研)が、体内の老化に関わる『老化細胞』なるものを選択的に除去する薬剤を用いたマウスの実験で有用性を証明しました。
ではそのGLS1阻害剤とは一体、どのようなものなのでしょうか?
今回は老化細胞とGLS1阻害剤の関係性を、会社に例えてまとめてみました。
老化細胞とGLS1。そしてGLS1阻害剤の関係性
老化細胞は、通常の社員(細胞)が過剰なストレスなどに耐えきれず心が折れて変わってしまった存在で、「働きたくないでござる・・・」という心理状態になっています。
アポトーシス(細胞死)という名の辞表によって自主退社をしてくれれば、やる気に満ちた有能な新社員(新陳代謝で生まれた新しい細胞)を迎えることもできるのですが、例え窓際族になろうとも、彼らは何故か図太く居座ります。
そのようにして、徐々に徐々にこの老害とも言える細胞たちが増えていくことで、会社(体内)は機能不全を起こし、やがて動脈硬化や糖尿病、腎障害などといった疾患に繋がっていくと言われています。
老化細胞が辞表を出さない理由
老化細胞が辞表を出さない理由。それこそがGLS1という秘密結社の存在。
GLS1は「会社を辞めようかな」という老化細胞たちに対して、賄賂(老化細胞の代謝に必要な遺伝子)を握らせて取り入り、意地でも彼らをやめさせないようにしています。
結社の最終目的は、自分たちの利権(体内での病気の蔓延)のため、会社(人体)を機能不全にして叩き潰すこと。
だからやる気がなくとも、窓際族になろうとも、やめもせずに老化細胞たちはだらだらと居座り続けているのです。
GLS1阻害剤の登場
ある日のこと。
「どうもあいつらが辞めないのは、GLS1という裏社会の秘密結社が暗躍してるらしいぞ!」
ということを突き止めた会社側は、極秘で警察に通報をします。
そして編成された、GLS1捜査一課。通称、GLS1阻害剤。
彼らは老化細胞とGLS1との取引現場を押さえ、その構成員を次々に検挙していきます(細胞内からのGLS1の減少)。
これによって結社から賄賂の援助が受けられなくなった老化細胞たちは、「もうやってられるか!」と次々に辞表を叩きつけてやめていきました(アポトーシスを起こす)。
これによって無事、会社の機能改善ができましたとさ。めでたしめでたし。
最後に
老化細胞とGLS1、その阻害剤についてお話ししました。
GLS1阻害剤について、今はマウスでの実験で効果が証明されただけですが、人間も加齢とともにGLS1の働きが強まってくることから、同様の効果が期待できると考えられています。
これが実用化されれば、生活習慣病の改善などにも役立ってくれるのではないでしょうか。
実用までにはまだ何年もかかるようですが、是非とも完成させて欲しいですね。
それではまた次回、お会いしましょう!
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