クロカタゾウムシの硬さの秘密!細菌との共生が生み出した最強の装甲

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 先日私はこのような動画を目にしました。

 昆虫などを使って様々な検証をしているヘビフロッグという方の動画です。

 動画内で見ても分かる通り、世界で一番硬いと言われるクロカタゾウムシ。

 今回はこの硬さの秘密に迫っていきたいと思います。

 

世界一硬い昆虫『クロカタゾウムシ』

 まずはクロカタゾウムシがどのような昆虫なのかを知っていきましょう。

 体長は11〜15mmほどで、全身真っ黒な色をしています。動画で見て思った方もいるかもしれませんが、ひょうたんのような形をしていますね。

クロカタゾウムシはゾウムシの仲間で、口が象の鼻のように長いことからこう呼ばれます。しかしクロカタゾウムシの場合は短めで、あまり目立たない感じですね。

また、カブトムシやクワガタムシなどと同じ甲虫の仲間でもあります。甲虫の特徴は硬い外骨格。これが外敵から身を守ると同時に最大の武器にもなります。

 生息しているのは沖縄県の八重山諸島で、世界でもここにしか存在しないと言われています。ちなみに八重山諸島には『ヤママヤー』と現地で呼ばれる『イリオモテヤマネコ』が生息する西表島も含まれています。

 

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クロカタゾウムシは飛べない?

 通常の甲虫は鞘翅(しょうし)という外骨格にあたる翅を開いて、その中に格納されている薄い後翅(こうし)を羽ばたかせて飛行します。

が、クロカタゾウムシはそもそもこの鞘翅が接合してしまって開かないようになっています。そのため飛ぶことができないのです。

その代わり「とにかく硬く!」を追求し続けた結果、誰にも負けない硬い装甲を持つに至りました。

 

聞かせてもらおうか。最強の装甲の性能とやらを

 クロカタゾウムシの外骨格の硬さは冒頭の動画でも見ていただけたかと思いますが、まさに規格外です。そこらの甲虫とは硬さの桁が違います。動画内では、

懐中電灯で叩いてみたり(虫は負傷なし。代わりに床がダメージを負った)

ピンセットでつまんで潰そうとしたり(ピンセットが曲がった)

ヤマアラシの針で刺してみたり(最終的に壁に刺さるほどの鋭さを持つ針の方が曲がった)

と色々試しましたが、どれも勝てずじまいでした。(ちなみに検証には死骸を使用しているのでご安心ください)

 

 動画内でも言っていましたが、硬すぎて胃酸も効かないのか、消化されないため鳥も食べようとしません。もし食べられても、そのまま糞と一緒に排泄されるといいます。

そして硬すぎるために、人間が指で潰そうとしても潰れません。(動画内ではミシミシ…という不穏な音が聞こえたような気もしますが、彼に洗脳されたくなければ聞かなかったことにしてください)

 

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これほどの硬さの秘密は?

 クロカタゾウムシの装甲に関して、研究によってその秘密が近年明らかにされました。それによると『ナルドネラ』という細菌が関わっているとのことです。

この細菌はクロカタゾウムシの体内に住み着いているのですが、なんと1億年以上も前の古代からゾウムシの仲間と共生関係にあったのだといいます。ロマンを感じますね。

このナルドネラがクロカタゾウムシの外骨格の素材となるキチン質とタンパク質を結びつける『チロシン』という物質を作ってあの硬い装甲を作っているのです。

チロシンとはアミノ酸の一種で、人間の体内でも合成されています。

アドレナリンやドーパミンなどのホルモンの材料となったり、ほくろや髪の色などの元となるメラニンの原料にもなっています。

また、集中力を高める効果もあります。

このチロシンが作れないように抗生物質でナルドネラを減らしたところ、外骨格が不完全で色も茶色っぽい、弱々しいクロカタゾウムシになってしまったとのことです。

また、体内のナルドネラを完全に死滅させると、成虫になる前の蛹までの段階で死んでしまうことも明らかになりました。

ナルドネラがいなければ、彼らは大人になることができなくなってしまうんですね。

 

最後に

 クロカタゾウムシの硬さの秘密についてお話ししました。

 これだけの装甲ならば、もしかすると外国では軍の兵士が着用するアーマーなどに利用する研究が行われているかもしれません。

 元は昆虫の外骨格ですから、軽くて強力な装甲ならば戦闘にもかなり役立つでしょう。

 こんな風に動物の持つ能力が軍事目的に研究されている例は他にもあって、有名なものではタコの擬態能力があります。

 光学迷彩という、周囲の風景に溶け込む技術の開発のために利用しています。

 ただクロカタゾウムシの装甲の場合は、もっと色々なことに応用ができそうな気もしますけどね。

 それではまた次回、お会いしましょう!

 

 

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