『日和見感染』←これを何と読むのか、ご存知ですか?医療に関わっている人ならば知っていて当たり前の言葉ですが、一般の方ではよっぽど医療に興味がなければ読めないという方が多いのではないでしょうか。
あるいは言葉だけなら聞いたことがあっても、文字で見るのは初めてという方もいるかもしれませんね。
今回はこの読み方と言葉の意味、日和見感染症を引き起こす原因となる最も代表的なウイルスについてお話しします。
日和見感染とは
まず始めに、日和見感染とは『ひよりみかんせん』と読みます。日和見感染症は、普段の健康な状態であればまずかかることのない感染症です。
ところが病気などによって体の抵抗力が落ちて体力が衰えてくると、それに乗じるようにして原因菌が体内に侵入して様々な病気を引き起こすのです。
体の抵抗力が強い時は何もせずに様子を見ていますが、いざ体が弱ったと見るや本性をむき出しにして暴れ出す。そんなところから『日和見』と名付けられたのです。
日和見感染を引き起こす最も代表的なウイルス
さて、ここからは日和見感染症を引き起こす最も代表的なウイルスについてお話しします。そのウイルスが何であるかといえば、『HIV』です。
HIVが性交渉による性感染症のひとつであることは、中学生くらいの頃に保健体育の授業や性教育で学んでいるかと思います。他にも母子感染などで感染するということもご存知と思いますので、その辺については省きます。
今回お話ししたいのは、HIVがどのようにして日和見感染を引き起こすのかについてです。
HIVはヒトに感染すると、その体を免疫不全の状態に陥れます。具体的には体内の免疫系のひとつ、リンパ球の司令塔である『ヘルパーT細胞』を攻撃して破壊するのです。
ヘルパーT細胞は司令塔という立場にふさわしく、単球などから抗原提示を受けて『B細胞』に抗体を作れと命令を出したり、戦闘部隊である『キラーT細胞』に抗原を倒せと命令を出します。
が、HIVによってその指揮官がいなくなってしまうわけですから、当然、戦闘部隊は混乱してしまい指揮系統にも乱れが生じます。
その混乱の隙を突いてやってくるのが、日和見感染の原因菌たち。彼らは体内の防衛部隊である免疫系が混乱していて働けないと見るや、好き勝手に暴れ出します。
すると体に様々な症状が現れることになり、同時にHIV感染から続く『AIDS(エイズ)』の発症となるのです。
最後に
日和見感染の読み方と意味、引き起こす最も代表的な原因ウイルス『HIV』についてお話ししました。
HIVは怖いウイルスと思われがちですが、最近では日和見感染症とAIDS発症を遅らせるための抗ウイルス剤が処方されており、発症した場合の生存期間も伸びてきています。
早期発見・早期治療が何よりも大事になりますので、疑わしいと感じた時は恥ずかしがったりすることなく病院で検査を受けましょう。
HIVとAIDSについては、もう少し詳しくこちらの記事で解説しています。
それではまた次回、お会いしましょう!
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