日和見感染の種類は何がある?主要な感染症3つを解説します!

感染症の雑学
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 日和見感染という言葉を聞いたことのある方は多いと思いますが、では具体的にどんな感染症があるのかはご存知でしょうか?

今回は日和見感染によって起こる感染症のうち主要なもの3つのお話と、ある特殊な場合に起こる日和見感染症についても1つ、紹介します。

 

日和見感染症のうち主要なもの3つ

 日和見感染は通常、健康な人にはかからない感染症です。体力が衰えて体が弱った際に暴れ出すことから『日和見』の名がついています。

サイトメガロウイルス感染症

 このウイルスは『ヒトサイトメガロウイルス』と呼ばれるもので、幼少期に感染し、生涯に渡って『不顕性感染(症状は出さずに潜伏している状態)』で終わることの多いウイルスです。

ここではAIDSによる免疫不全時に再活性化した場合についてお話ししますが、この場合はあらゆる臓器にウイルスが感染します。網膜炎や腸炎、脳炎を発症する割合が高いとされています。

また、間質性肺炎を起こすこともありますが、その頻度は肺移植患者の場合と異なって低くなっています。

間質性肺炎とは→肺組織が繊維化することで、徐々に呼吸がしにくくなっていく症状。一般的には原因不明の『特発性肺線維症』と呼ばれることが多い難治性の疾患。喫煙は症状を悪化させる

 

薬剤耐性緑膿菌感染症

 緑膿菌とは、主に水回りに多く、常在している菌で、健常者には悪さをすることはほとんどありません。しかし何らかの原因で血液中に侵入してしまい感染すると、菌血症や敗血症を引き起こします。

そして細菌が死ぬときに出す毒素である『エンドトキシン』によるショックを起こして、多臓器不全を起こし死亡するといった例が挙げられています。

 薬剤耐性とは、処方された抗生物質を飲み切らなかった場合などに起こり、体内の菌がその抗生物質への耐性を獲得してしまうことを言います。

ですから耐性をつけた菌が何らかの理由で体外に出ていって繁殖すると、次に同じ抗生物質を投与しても効かない、という現象が起こってしまいます。

 

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 これが大きな問題となっているのは病院での院内感染で、特に手術後は患者の体力が衰えていることが多いため日和見感染も起こりやすく、そこへ薬剤耐性のついた緑膿菌や黄色ブドウ球菌などが感染してしまい、発症してしまうのです。

くれぐれも処方された抗生物質を飲む場合は、必ず最後まで飲みきるようにお願いします。

なお、抗生物質はたまに風邪の際にも処方されると思いますが、あれは風邪による体力の衰えからくる二次感染を防ぐための予防措置であり、風邪のウイルスそのものには効果は全くありません

 

トキソプラズマ症

 トキソプラズマは寄生性原生生物(原虫)の一種で、ほぼ全ての哺乳類や鳥類に感染します。全人類の 1/3 以上という驚異の感染率を持ちますが、一度感染すると終生免疫(1度かかると2度とかからない)を獲得します。

健常者の場合では発症しても免疫系が働くために症状が出ないか、程度が軽い急性の感染症状を発症した後、回復して生涯の保虫者となります。

しかしAIDS患者など免疫不全がある場合は、重篤な症状を引き起こします。肺炎や脈絡網膜炎を発症し、脳炎を発症すると、意識障害・けいれん・視力の障害などを起こします。

また妊婦が感染した場合は『先天性トキソプラズマ感染症』となり、死産や流産だけでなく、生まれてきた子供に対して精神発達の遅れや視力の障害、脳性麻痺などの重篤な症状をもたらします。

 

特殊な日和見感染症・『津波肺』とは?

 津波肺とは肺炎の一種で、津波に飲み込まれた際に泥水などを吸い込んでしまうことによって、後日に肺炎を起こしてしまう日和見感染症を言います。原因は主に真菌とされています。

詳しくはこちらの記事を参考にしてください。

最後に

 日和見感染の主要なもの3つについてお話ししました。

 特に最後の津波肺は、健常者であっても地震などの際にかかることがあるかもしれません。

 予測可能回避不可能かもしれませんが、知識として知っておけば、何かの役に立つかと思います。

 それではまた次回、お会いしましょう!

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