早ければ2月下旬から日本でも臨床現場で使用が開始されるという新型コロナワクチン。
未だ忌避感を持つ人も多いと聞きますが、予防接種を受けたいと言う人がいるのもまた事実。
諸外国では治験を重ねて一応の安全性を確かめた上で緊急的な接種が既に始まっていますが、それでも副作用はつきもの。100%は避けられず、極めて稀ではありますが発生するものです。
そこで今回は新型コロナワクチンの接種が開始され、接種後にもしも何かしらの副作用が出てしまった時のために健康被害救済制度と、その申請方法から認定・支給までの流れについてお話ししておきたいと思います。
新型コロナワクチンで見られる副作用って?
まず最初に、新型コロナワクチンでどのような副作用が現れるのかについてお話ししておきます。
実際に接種を開始した海外で確認されているものとしては、アナフィラキシーショックが挙げられます。
これはアレルギーの原因となるアレルゲンが侵入した時に体内の免疫が必要以上に過敏に反応してしまうことで起こります。いわば免疫の過剰反応ともいうべきものです。
中でも、意識レベルの低下や失神などを伴うものをアナフィラキシーショックと呼びます。
ところでこの病名、聞き覚えがありませんか?
そうです。これを引き起こす原因として有名なものにスズメバチがいますね。
他にも食物摂取や医薬品などによるものもあります。
この中で1番症状が起こりやすいのが食物によるもの。知名度ではおそらくスズメバチの方が上だと思いますが、やはりありふれたものから起こる方が症例は多くなりますね。
また、たとえ症状が収まったとしても数時間後に再発するといった危険性もあるので、発症したら迷わず医療機関を受診しましょう。
健康被害救済制度
では本題の、健康被害救済制度の概要をお話しします。
概要
正式には『予防接種健康被害救済制度』と呼ばれるもので、予防接種に関係する過失の有無にかかわらず、接種と健康被害との因果関係が認定された人を迅速に救済するための制度です。ですので、新型コロナ以外の予防接種においてもこの制度は適用されています。
もしもあなたやあなたのご家族、お子様が予防接種を受けて健康被害を生じた場合、その被害が接種を受けたことによるものであると厚生労働大臣から認定されることで、お住いの市町村から給付が行われることになります。
支給方法は現金給付。後ほど説明しますが、どの種類かによって給付金額が異なります。
申請〜認定・支給まで
では、肝心の申請方法の話に入りましょう。次の流れで給付まで行き着きます。
- 予防接種で健康被害を受けた本人やその保護者が市町村へ申請を行う
- 市町村が都道府県へ届出を出す
- 都道府県から厚労省へ届出を送付する
- 厚労省の疾病・障害認定審査会にて意見を聴取する
- 審査結果を厚労省に報告
- 厚労省から都道府県へ連絡が届く
- 各市町村へ認定or否認の通知が届く
- 請求者に支給or不支給の通知が届く
補足の項があるので説明します。
1.について→申請の際に予防接種を受ける前後のカルテ等が必要になる場合があるので、お住いの市町村に必要書類を確認するようにしてください。
4.について→厚労省が提出された書類のチェックを行い、厚労省の設置する外部有識者で構成された疾病・障害認定審査会(感染症・予防接種審査分科会)で意見聴取を交えた審査を行います。そこで結果が出次第、厚労省→都道府県→市町村を通して申請者まで連絡が届きます。
なお給付決定の連絡に対して不服の申し立てがある場合には、都道府県知事に対して審査請求をすることも可能です。
給付の種類と給付金額
給付の種類については、大きく次の3つに分けられます。
また給付金の金額に関しては、疾病ごとに以下のように大きく2つの分類がされています。
・四種混合、麻しん・風しん、日本脳炎、BCG等のA類疾病(以下、A類)
・インフルエンザ等のB類疾病(以下、B類)
医療機関で治療を受けた場合
治療に使った医療費(自己負担分)と入院や通院などに使った諸費用を支給してもらえます。
諸費用の方に関しては、月単位での支給となるようです。
金額ですが、A類では次のようになります。医療費以外はいずれも月額での表記です。
・医療費
健康保険等による給付額を除いた自己負担分を支給
・通院費
3日未満→35,000円
3日以上→37,000円
・入院費
8日未満→35,000円
8日以上→37,000円
・同一月入通院費→37,000円
なおB類は、A類の額に準じます。
障害が残ってしまった場合
予防接種の健康被害によって障害を負ってしまった場合は疾病の種類、子供か18歳以上の成人か、障害の等級によって給付金の内容が変わります。
こちらは年に4回の支給になります。いずれも年額での表記になります。
子供の場合
障害児養育年金という給付形式になります。
これは一定の障害を有する18歳未満の子供を養育している者に支給される給付金です。
・1級→1,581,600円(1回あたり395,400円)
・2級→1,266,000円(1回あたり316,500円)
なおこちらは、A類以外の給付形式はありません。
18歳以上の成人の場合
障害年金という給付形式になります。
これは一定の障害を有する18歳以上の者に対して支給される給付金です。
A類では次のようになります。いずれも年額表記です。
・1級→5,056,800円(1回あたり1,264,200円)
・2級→4,045,200円(1回あたり1,011,300円)
・3級→3,034,800円(1回あたり758,700円)
次にB類の場合。こちらも年額表記。
・1級→2,809,200円(1回あたり702,300円)
・2級→2,247,600円(1回あたり561,900円)
B類には2級までしかありません。
亡くなられた場合
予防接種による健康被害が原因で亡くなってしまった場合には、死亡一時金と葬祭料が支給されます。
死亡一時金
死亡した方の遺族に対して支給される給付金で、次のような違いがあります。
A類の場合は死亡した遺族の方に対して、44,200,000円の支給がされますが、B類の場合では生計維持者かどうかで給付額が異なってきます。
・生計維持者でない場合→遺族一時金として、7,372,800円を遺族に支給
・生計維持者の場合→遺族年金として年額で、2,457,600円を遺族に支給
なおB類に関しては、10年の支給を限度とするとされています。
葬祭料
死亡した方の葬祭を行う人に対して支給されます。つまり喪主の方ということですね。
・A類・B類ともに、209,000円
最後に
予防接種の健康被害救済制度についてお話ししました。
新型コロナウイルスに関する救済措置は現状、まだ完全に決定されてはいないようですが万が一にも健康被害が生じてしまった場合には必要な措置を講ずるとのことですので安心してください。
ところで、アナフィラキシーなどの危険性からワクチンを打つことにためらいのある方もいると思います。ですが医療については、常に100%安全というものはありません。
「毒を以て毒を制す」
この言葉を聞いたことがある方は多いでしょう。病院で処方されている薬だって毒です。それに比べたら、体内で自然に作られる免疫の方が遥かに安全と言えます。
そしてワクチンでの重症化は本当にごく稀なものであって、おいそれと起こるようなものではありません。でなければ治験を重ねてわざわざ安全性を検査している意味もなくなってしまいうでしょう。
ワクチンによる重症化のリスクと、コロナ感染による重症化のリスク。
さてあなたなら、どちらを選びますか?
それではまた次回、お会いしましょう!
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