最近、首や肩のこりが辛くて・・・。それに年のせいか肩も痛くて動かしにくいし、どうしたらいいでしょうか?
ではそれらに効くツボと、家庭で簡単にできる肩の運動法をお教えしましょう
なおツボの紹介には同身寸法と骨度法、解剖学的呼称を説明に用いますので、これらの理解のために先に以下の記事を読んでおくことをお勧めします
首と肩のこりに効果のあるツボ
今回もご自身で押せるように、主に手の陽明大腸経のツボや足の太陽膀胱経、手の少陽三焦経、足の少陽胆経などのツボを紹介します。
手三里
手の陽明大腸経のツボで、肩こりのある人では反応が出やすい点で、歯の痛みや頬の腫れ、腹痛などにも効果があります。
取穴部位は前腕後外側、肘窩横紋外端と手関節背側横紋を結んだ線上で、肘窩横紋(曲池)の下方2寸に取ります。
何故、三里なのに肘窩横紋から下方2寸なのかといえば、本来『曲池』ではなく上腕部の『肘髎』から数えて3寸だったためです。
また、足三里と区別するために『手』の文字がついたと言われています。
なお、ツボを押しながら首を反対方向に伸ばすように動かすと、より効果が出ます。これは右のツボなら左に、というようにしてください。
後渓
手の太陽小腸経の兪木穴で八脈交会穴でもあるツボで、耳鳴りや喉の痛み、ぎっくり腰や手指の痙攣などにも効果があります。
取穴部位は手背(手の甲)、第5中手指節関節尺側の近位陥凹部、表裏の境目に取ります。
または拳を軽く握ったとき、手のひらにある横紋の尺側端に取ります。
参考写真も載せておきます。赤い点のあたりの陥凹部で表裏の境目です。
このツボは、押しながら首を回すようにするとより効果が出ます。
天柱
足の太陽膀胱経のツボで、頭痛や鼻づまり、喉の痛みなどにも効果があります。
取穴部位は後頸部、第2頚椎棘突起と同じ高さで、僧帽筋外縁の陥凹部に取ります。
ですがこの棘突起は触れにくいので、襟足の生え際くらいの高さと意識すると良いでしょう。
僧帽筋は外後頭隆起(後頭部の骨の出っ張り)を目印にすると、その下方で触ることのできる筋です。お寺の僧が被る帽子のような形なのでこの名が付いています。
ちなみに天柱の『天』とは頭部を指していて、このツボは脊椎の上端にあって柱のように頭蓋骨を支えていることからこの名がつけられました。
臑会
手の少陽三焦経のツボです。
取穴部位は上腕後面、三角筋の後下縁で肩峰角の下方3寸に取ります。
三角筋は肩関節を覆っている筋肉で、肩関節の運動に関与します。
押すとそれなりに痛かったりします。
肩髎
これも手の少陽三焦経のツボで、上肢の痺れや筋無力などにも効果があります。
取穴部位は肩上部、肩関節を90度外転させたとき前後に現れる陥凹の後ろ側に取ります。
90度外転とは簡単に言うと、平均台に乗る時の腕の位置です。水平のバランスを取りますよね?あれです。
天髎
これも三焦経です。
取穴部位は肩甲部、肩甲骨上角の上方陥凹部に取ります。
肩の後ろの方へ手を回すと肩甲骨の出っ張りが触れると思いますので、その最も内側の上部の陥凹です。
風池
足の少陽胆経のツボで、有名なのは目の疲れに対しての効果です。押すのとは逆方向の目へ向けて押すと、目の疲れが楽になります。
取穴部位は前頸部、後頭骨の下方、胸鎖乳突筋と僧帽筋の起始部の間の陥凹部に取ります。
ここは風邪が好んで集まるところとされることからこの名がつきました。
肩井
これも足の少陽胆経のツボで、難産や乳房の疾患などにも効果があります。
取穴部位は後頸部、第7頚椎棘突起と肩峰外縁を結ぶ線の中点に取ります。
この棘突起は体表からも容易に触れられます。首を左右に動かしながら触れると一緒に動く棘突起を確認できると思います。それが第7頸椎棘突起です。
肩峰は肩の最も外側と考えてください。その2箇所を結んだ真ん中の点にあります。肩がこっていると、反応が出やすいです。
より簡単に説明すると、取穴の位置は天髎のやや上方です。
このツボも、押しながら首を反対方向へ動かすとより効果が出ます。
落沈
別名を外労宮とも呼ぶこのツボは、特定の経絡に属さない奇穴という種類のものになります。
取穴部位は人差し指と中指の付け根の関節の間。それよりもやや手首よりの位置に取ります。
肩こりのほか、寝違えにも効果があり、このツボを押しながら首を動かして運動させるとより効果が出ます。
取穴部位の参考画像も載せておきます。赤い点のあたりです。
家庭で簡単にできる肩の運動法
ツボに関しては以上となりますので、ここからはご家庭で簡単に実践できる肩の運動法を紹介します。
実践していただくのは『コッドマン体操』といわれる運動法です。別名をアイロン体操ともいいます。
やり方は、まずお辞儀をするように前屈して1kg程度の重り(アイロンや、無ければペットボトルに水を入れてもいい)を持って、体を揺らすことでぶら下げた上肢を前後左右に円を描くように動かします。なお前屈の際に辛い場合は、台などで体を支えても構いません。
これを1日に数回行います。
四十肩や五十肩の予防には、関節の運動を毎日数回行うようにしましょう。運動前に蒸しタオルなどで温め、血行をよくしておくとさらに良いです。
また夜間に痛むこともあるため、肩を冷やさないように気をつけましょう。
最後に
これで本日のお話は終了です。
首や肩のコリを放置しておくと頭痛や耳鳴りなどにも繋がるので、油断しないようにしたいですね。
それではまた次回、お会いしましょう!
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