発熱の原因は疲れ?コロナ禍でも気にしてほしい心因性発熱を解説

体の不調や病気の雑学
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 新型コロナウイルスによる外出自粛。

 それを真面目にやってきて、感染予防もできるだけしっかりしていたはずなのに、突然発熱が。

 そんなことになったら、外に出ていないのに何で?と不安になってしまうかと思います。

 でも実は、外出自粛が続く精神的な疲れやストレスから、その発熱が起こったのかもしれません。

 今回は、疲れやストレスが原因となって起こる心因性発熱について解説します。

 

疲れやストレスが引き金になる心因性発熱とは

 心因性発熱は機能性高体温症とも呼ばれていて、急性もしくは慢性的なストレスにさらされた時、その人物の平熱以上に体温が高くなってしまうことをいいます。

この発熱は、いわゆる風邪などとは全く異なるメカニズムで発熱することで知られていて、一般的なストレスに対する体の反応の一種で、誰にでも起こりうる可能性があるのです。

心因性発熱は子供から大人まで性別問わず幅広い年齢層で起こる可能性を持っていて、特に子供の場合には高熱を出しやすい傾向にあります。

何故ならば幼少期というのは熱を作る機能が大人と比べて発達しているためで、些細な刺激でも体温を上げる機能が大きく働くからです。

 

心因性発熱と通常の発熱のメカニズムの違いは?

 心因性発熱と通常の風邪などの発熱ではメカニズムが異なるために、解熱鎮痛剤が効かないなどの違いがあります。

ではここで、2つの発熱の違いについて解説します。

 

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通常の風邪などの場合

 風邪などの場合は発熱は細菌やウイルスによって引き起こされます。

 体内ではまず、マクロファージという免疫機能が働きます。これは白血球の一種で、体内に侵入してきた細菌などと戦うためにサイトカインという物質を出します。

このサイトカインが免疫機能を活性化させ、免疫に関わる細胞は侵入者たちを倒していきます。

またサイトカインは、体温を上昇させることも機能の1つとして供えています。

サイトカインが脳にある受容体に作用して発熱に関係するプロスタグランジンというホルモンを産生させます。そのホルモンが視床下部に作用して熱産生反応を亢進させ、放熱反応を抑制します。このため発熱が起こるのです。

 サイトカインの働きは他にもあります。一般的に風邪をひいて発熱があると、食欲が出なかったり、だるさがあったりなどの症状が出ますね?

あれらの反応は『シックネス反応』と呼ばれるもので、私たちが普段、風邪をひいた人を一目で認識できるのはこの反応を察知できているからなのです。

 

心因性発熱の場合

 心因性発熱の場合は細菌などとは無関係のストレスによる発熱なわけですから、サイトカインやプロスタグランジンの産生を伴うことがありません。

心因性の場合には主に交感神経の亢進による褐色脂肪細胞の熱産生が関与していると考えられています。

 

何故、解熱鎮痛剤が効かないのか

 解熱鎮痛剤はプロスタグランジンを作り出す酵素の働きを阻害するため、通常の風邪などの場合には効果を現します。

しかし心因性の場合はそれらを伴わないため、解熱鎮痛剤は効果を発揮できません。

また、心因性発熱の場合には先ほどお話ししたシックネス反応がないため、たとえ高熱でも患者はぐったりせず元気そうに見えてしまいます。

そのため病気とは認識されず仮病と思われてしまうことがあるのです。

 

心因性発熱を起こすストレスとはどんなものか

 心因性発熱を起こすストレスは、子供と大人で異なります。

 子供ではかつては過剰適応という、親や周囲からの期待に応えようと頑張りすぎてしまういわゆる『良い子』に多い発熱でした。

しかし現在では、いじめや家庭環境、発達障害に関連した生活への適応困難などから生じる心因性発熱も多くなっています

 一方で大人の場合は職場や家庭での人間関係、過重労働や介護などがあり、中には仕事と介護の両方のストレスから不眠症やうつ病を併発していることもあります。

 

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心因性発熱に似ているようで違う詐熱とは

 これは本当は熱がないにも関わらず、何らかの手段で発熱があるという状態を意図的に作り出すことを言います。

心因性の場合と同じで心理的な要因が関係していますが、その根本的な部分で違いがあるのです。

詐熱の場合は何かその人にとって回避したい・逃げたいといった状況があるために起こるもので、実際は熱がないのに体温計を操作して熱があるように見せかけている人もいます。

これに対して心因性はストレスに対しての生理的反応なので、患者も自身で治療を望んでいるという点が異なります。

 

心因性発熱の症状と特徴

 心因性発熱には次のような症状と特徴があります。

強い倦怠感

 心因性発熱では発熱が何度以上、と定義することは難しいため、患者ごとに苦痛の値も異なっています。

たとえば36.9℃から37.2℃という範囲の上昇であれば一般の方は「まぁ、ちょっと高いけど平熱かな」くらいに思うかもしれません。

しかし心因性発熱の患者の場合はたとえそれだけの体温上昇であったとしても、急激に強い倦怠感を感じることがあるのです。

また、熱以外にもストレスに対する反応として頭痛や腹痛、睡眠障害などがみられることがあります。

 

発熱が続いたり、体温の高い状態が続く

 心因性発熱では慢性的に微熱程度(37℃以上38℃以下)の発熱が続く場合と、特定のイベントに対して高熱(40℃近くが出ることも)が出る場合があります。

高熱が急に出てしまう場合には何らかのストレッサーがあると考えます。たとえば会社に行くと高熱が出て、帰ってくると下がると言った場合には、会社に対してストレスによる過剰反応が出ていると考えられるのです。

なぜこのような反応が起こるのかというと、慢性的なストレスを感じていると、体はストレスとすぐに戦えるように反応性を高めていきます。

そのためストレスが強くかかると体が過剰に反応してしまい、高熱が出やすくなってしまうのです。

 

最後に

 ストレスが原因となる心因性発熱についてお話ししました。

 原因不明の熱が出ていたという方は、もしかすると自粛の疲労やストレスが原因になっていたのかもしれません。

 気になるようであれば医療機関を受診してみてください。

 それではまた次回、お会いしましょう!

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