東洋医学の診察時の目標と心得、診断法である四診法の分類のお話

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診断における一般論と心得、診断の種類について

 

診断目標

 この項は、以前の記事でも簡単にお話ししたことの詳細版です。

 一口に『診断』と言っても、西洋医学と東洋医学では目標とするものが少し異なります。

 西洋医学の場合は医師が患者を診察し、病状を判断して病名を決定することで、治療法を指示したり、その決定や選択をするものではありません。診断と治療は別々に行うものなのです(基本的に病院では、レントゲンなどの検査や注射などの治療は、看護師など他の人に協力してもらっていますよね)。

 一方、東洋医学の場合は『診断即治療』と言われ、病名を確定してしまえば、それがそのまま治療法に結びついて、治療方針を導き出すことができます(1人で最初から最後まで全ての診断・治療を行う)。

つまり東洋医学と西洋医学で違うのは、診断から治療までの行為の全てを、1人で完結させられるかそうでないか、なのです。

 『診断』の意味こそ、西洋医学と同じですが、東洋医学の場合はすでに存在する治療法のうち、どの治療を行うかを選択することを目的として診断すると言っても良いでしょう。

 鍼灸の場合は例えば『肝血虚』という診断名がついたなら、色々な鍼灸の理論に則って治療穴や手技が決まってきます。

 西洋医学の『診断』は『病気の原因を明らかにすること』で、細かく分析的に追求していきます。ですので、初めてぶつかった症例などの場合、『愁訴(症状)はあっても診断がつかない』といった事態がしばしば発生することとなり、治療法がわからない、といったことが起こります。また、AIDSのように原因はわかっても治療法が未だにない、ということも起こりえます。

対して東洋医学は経験や直感から試行錯誤を繰り返し、先に治療法を開発し、その治療法にはどの病態が最も適合するかの研究を繰り返してきました。治療法の研究が先に行われ、その後に生理・病理・病因などを考えたのです。

 東洋医学の診断の目的は、病の原因を追求することと、どの治療法を選択するかの2点であり、最終目標は治療法の決定にあるのです。

 

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診断の心得

 東洋医学の診断では血液検査やレントゲンなどを用いるのではなく、視覚・聴覚・嗅覚・触覚などの五感を使用します。このため、診断に際しては細心の注意と精神統一をして、集中することを重視します。

 診断に際しては東西に関わらず、経験と優れた直感力が重要であるというのは理解できると思いますが、特に東洋の場合、五感の感性を磨くことが重要となってきます。

これには経験による学習が必要ですが、漫然と経験を重ねていくだけでは経験とはなりません。常に細心の注意と深い集中心が必要となり、それによって磨き上げられていくのです。

 

診断の種類

 東洋医学では古来から、『色脈』という言葉が診断を意味してきました。これは顔の色艶の良し悪しや脈の状態の良し悪しを診ることが代表的な診断方法とされています。

 その他にも病人に問うことや、呼吸や発声を聞くなどの診断法もあり、古典の『難経』ではこれらを4分類して、以降、東洋医学では診断の種類をまとめて『四診法』と呼ぶようになりました。

望診(神技)視覚を通して病態を診察する

聞診(聖技)聴覚・嗅覚を通して病態を診察する

問診(工技)問いかけと応答で病態を診察する

切診(巧技)指頭・指腹および手掌の触覚から病態を診察する

なお、望診は見ただけで診断が下せるということで最高位の診断法と言われています。

 

おつかれさまでした

 診察に関する概要は以上となります。

 次回から実際に、『四診法』の解説に入ります。

 それではまた次回、お会いしましょう!

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