今回も引き続き四診法の問診で診るべきポイントを具体的に解説していきます。
前回はこちら↓
睡眠について
睡眠異常には不眠と嗜眠があり、不眠には入眠障害と熟眠障害があります。
心(心包)に変調があると、精神や思惟活動に変調が現れて不眠が起こります。
主なものには心脾両虚による心悸や健忘を伴う不眠、心腎陰虚による心煩、多夢を伴う不眠、食滞による不眠などがあります。
また、ひどい眠気があって、いつも知らないうちに眠ってしまうことを嗜眠と言います。これは陽虚や湿痰などの病証で見られます。
五臓の障害状況について(五主)
五臓は骨や筋肉などを分担して支配しています。
肝は筋に血を分配して栄養しますが、この機能が阻害されてしまうと筋の屈曲機能(関節の屈伸運動)に異常が出て、関節炎や捻挫が起こりやすくなります。
体重維持の肌肉の作用や、内臓を外からの機械的な侵害から守る肌肉の作用は脾の働きによるもので、足や腕のだるさや、体が重いなどの症状、肉離れなどは脾の異常と関係があるものが多いとされます。
腎は精を蔵していて精は髄を生み、髄は骨を栄養します。腎虚になると骨が弱体化してしまい、骨の病気を引き起こします。
肺の機能が正常ならば皮膚は健康で潤いや光沢があり、皮毛の調整や汗腺の調節も正常になります。
心は血脈を主り、血の循環を主ります。心に異常が起こると血脈に異常が起こって循環も悪くなりやすくなります。
体液の異常(五液)
五臓はそれぞれ五官で外部と繋がっています。
五官から出る液体は五臓の影響を受けて異常が起こります。
例えば肝は目に開竅していて、五液では涙の量は肝に左右されます。心は舌で、五液は汗の量を左右します。腎は耳ですが、五液は唾の量を左右します。
これは、古来から唾は腎気の変化したものと考えられているためで、唾を飲み込むと腎精を滋養する作用があるとされています。
涎と唾の違いは、唾液中の清い水様のものが『涎』、粘るものを『唾』と言います。
過労の原因について尋ねる(五労)
程よい運動は臓腑の機能を高めますが、運動しすぎたり労働のしすぎは過労となり、臓腑の機能を損なわせます。臓腑の働きが悪ければ疲れやすくなります。
例えば肝は筋を主り、筋の栄養や血の分配など新陳代謝に関係しますが、歩きすぎると筋は疲労を起こし、肝の働きも悪くなります。
また肝の働きが悪いと長く歩くこともできなくなります。
参考:五臓と五労
五臓 五労
肝 久行
心 久視
脾 久坐
肺 久臥
腎 久立
五労の各イメージ
久行→長く歩く
久視→長く見る(現代ならPCなどの画面を見続ける)
久坐→長く座る(現代ならデスクワークなど)
久臥→床に伏せる
久立→立ち仕事
その他の問診に関係する事項について
湿気の嫌いな人や寒いのが嫌いな人は、脾や腎、肺などの衰えと関係があることが多くあります。
また、湿気がありすぎると脾を傷めるというように、気候や季節とも五臓は密接な関係があります。
さらに内因の七情によって五臓を傷めたり五臓の働きが悪くなると感情の起伏が大きくなりやすくなります。
おつかれさまでした
以上で四診法の問診の解説は全て終了とさせていただきます。
次回からは四診法の最後の1つを解説していきます。
それではまた次回、お会いしましょう!
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