四診法の聞診で呼吸音 発声 発語 お腹の音 口臭の異常を診よう!

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 今回も前回に引き続いて四診法の聞診について、臨床で診るべき具体的なポイントについて解説していきます!

前回はこちら↓

『聞診』って?

 聞診は嗅覚と聴覚で病人の呼吸音や発声、発語、体臭、口臭などの状態を観察し、正気の盛衰や邪気の消長を探り、臓腑経絡との関連を診察する方法です。

呼吸と音

 健康な人の呼吸は、ゆったりしていて深く、雑音がないとされます。疾病を患った際には次のような異常が現れます。

呼吸音について

短気呼吸の回数が多く途切れるもので、俗に言う『息切れ』。急性病の場合は実証、慢性病の場合は虚証で見られる

・少気→呼吸が静かで浅く、微弱で言葉を発することも少ない。慢性病で見られる症状で、虚証。

ぜん呼吸困難のこと。口を開けて肩で呼吸をする

 実喘→発作が激しく息は荒く、音は高い。息を吐く時に気持ちがいい

 虚喘→呼吸が弱く音は低い。息を吸う時に気持ちがいい

咳嗽がいそう→『咳』は声だけで痰がないもの、『しわぶき』は痰はあっても声が出ないもの。両方揃うと『咳嗽』

・嘔吐→『嘔』は声だけで吐かないもの、『吐』は吐くけれども声は出ないものをいう。両方揃うと『嘔吐』となる。胃の気の上逆で見られる

曖気あいき噫気いきともいう。ゲップのことで、多くは満腹時に見られる。呑酸どんさん(ゲップをして酸味を感じる)を伴う時は消化不良や宿食を考える。それらが無い時は、脾胃や肝の働きが悪い時に見られる

吃逆きつぎゃく呃逆あくぎゃくえつともいう。しゃっくりのことで、一般的には一過性の胃の気の上逆である。しかし、久病で起こる時には注意を要する

太息たいそく→嘆息ともいう。ため息のこと。情志の鬱積が原因。胆の病とされる

→カ欠ともいう。あくびのこと。寒邪に侵された時や、労倦によって腎が病んでしまった時に現れる。腎の病とされる

噴嚔ふんてい→嚔ともいう。くしゃみのこと。風寒などによって肺の気が鼻に上った時に起こる。肺の病とされ、表証である

鼾声かんせい→鼾ともいう。イビキのこと。卒中による混迷時や熱が盛んである時に現れる。

 

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発声と発語

 健康な人の発声は、自然で滑らか、音調にも艶があり、伸びやかとされています。疾病の際には次のような異常が現れます。

発声について

実証→声は大きく重く、濁っている

虚証→声は小さく軽く、清んでいる

譫語せんご→高熱時や狂病などで神気が常軌を失うことで発する言語錯乱(うわごと)。実証で、語声は高く力強いが、話の筋は通らない

鄭声ていせい→譫語と同様、うわごとで虚証のもの。声は低く力がなく、同じことを繰り返して発するか、途切れる

・独語→独り言。人がくるとやめる

・錯語→話が錯乱してしまい、後から気がつく

呻吟しんぎん→苦しみ呻くものをいう。通常は痛みによるとされる

・驚風証→小児で出る。発作的に驚いたように叫ぶ。発声は鋭く、驚き恐れるとされる

 

異常音

 呼吸や発声、発語とは別の異常音で、次の2つがあります。

異常音について

振水音→胃の辺りを叩いたり揺り動かした時、ピチャピチャと音のするもの。胃の中に水が溜まっていることを示す

腹中雷鳴→腹部でゴロゴロと雷のような音がするもの。腸が冷え、清濁の泌別ができない時に起こる。衰退症状であり、寒証である

 

臭いを嗅ぐ

 病人の体臭や口臭、腋などの臭いと、大小便、帯下、膿の汁などの臭いを嗅いで、その質によって病状を判断します。一般的に悪臭のものは熱や実証が多く、生臭いものは寒や虚証に多いとされています。

参考:五臓と五臭

五臓 五臭

肝  セン(臊)そう(あぶらくさい)

心  焦(こげくさい)

脾  香(かんばしくさい)

肺  せい(なまぐさい)

腎  腐(くされくさい)

 

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五声

 病勢が進んだり高熱を発するようになると、障害を受けた臓器ごとに特徴的な発声をするようになります。その特徴を聞き分けることで障害を受けている臓器を特定します。

五声について

・肝→『呼』→人をむやみに呼んで大きな声を出す。病気による苦痛を強く訴える

・心→『笑』→言語がとても多くなり、普段は無口な人もたくさん話すようになる

・脾→『歌』→鼻歌を歌い、いつでも歌を口ずさんで歌うように話しかける

・肺→『哭』→内向的な性格になり、単純なことで泣きやすく、あるいは泣き言を言うようになる

・腎→『呻』→唸り声を出す。何かをするにも体力が伴わず、あくびが出やすくなる

 

五音

 病人の声の調子がどの音階かで五臓の障害を察知する診察法です。特殊な能力が必要なため、現在ではあまり行われてはいません。

特殊な能力とのことですので、もしかすると、絶対音感のある方ならば可能かもしれない診察法です。

五音について

・肝→角(ミの音)で、強く鋭い発音である(かきくけこの牙音と言われる)

・心→徴(ソの音)で、胸から出る発声。歯を合わせて出る激しい発音である(たちつてと、なにぬねの、らりるれろの舌音と言われる)

・脾→宮(ドの音)で、五音の中では中庸の音階である(あいうえお、やいゆえよ、わいうえをの喉音と言われる)

・肺→商(レの音)で、清く冴えていて悲哀の情を含む発音である(さしすせその歯音と言われる)

・腎→羽(ラの音)で、弱々しく力のこもらない発音である(はひふへほ、まみむめもの唇音と言われる)

元・吹奏楽部員による豆知識

 中国の音楽のほとんどはファとシの音が抜けている五音で構成されていて、『47(ヨナ)抜き』と言います。

この長4度のファとシは、人をイラつかせて聴きづらいため、西洋でも別名『悪魔の音程』と呼ばれています。これが無いだけでとても聴きやすく、心に訴えかけるような音楽になります。

ちなみに日本の演歌もこのヨナ抜きが多いそうで、これは東洋独特の音階とも言えるでしょう。

 

おつかれさまでした

 以上で聞診の解説は終了とさせていただきます。

 次回も引き続き、四診の解説を行なっていきます。

 それではまた次回、お会いしましょう!

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